第1回 ミニ情報 「Recording Assignment」(TI2001-1)


 米国特許庁(USPTO)は、Paper Workの削減のため、特許(特許出願を含む)、商標の譲渡書類(Assignment Document)の登録(Recording)の受け付けを、定型フォームで行うという提案を行っています。


[Recording Assingment 関連情報]

 USPTOへの譲渡書類の登録には、いくつかの目的、メリットがあります。その中のいくつかをご紹介します。

 特許、商標の譲渡書類を登録することで、同一特許を何人もの人に譲渡するといった詐欺まがいの行為を防止するというメリットがあります。また、詐欺まがいの行為があった場合には、誰にその権利があるのかを判断する証拠として、登録された譲渡書類が使われているようです。

 さらに、登録された譲渡書類により、特許の所有者(Ownership)を調査することができます。特許のライセンスがほしい場合は、その所有者にライセンスを申し込むことになります。

 その他のメリットとして、USPTOにより付けられた登録書類の番号(Reel/FrameNumber)を、102(e)/103(a)による拒絶を回避するための証拠として使用することができるというメリットがあります。特許が102(e)/103(a)の拒絶を受けた場合、引例と本願が同一譲渡人であることを証明することにより、103(c)に基づいて拒絶を回避することができますが、この同一譲渡人であることを証明する1つの方法として、登録書類の番号が使用されることがあるのです(Reel/Frame Numberがなければ同一譲渡人であることの証明ができないというわけではありません)。



今泉 俊克(いまいずみ としかつ)
 米国特許弁護士。1962年、東京都出身。1985年中央大学理工学部電気工学科卒業後、1985年-1995年(株)リコー法務本部勤務。1995年-1998年駐在員としてRicoh Corporationに勤務。(ワシントンDC駐在) 1997年米国Patent Agent Exam合格(Limited Recognition)。2001年 Franklin Pierce Law Center卒業(Juris Doctor取得)。現在、Rader, Fishman & Grauer PLLC (ワシントンDC)で、主に特許出願手続き、意匠出願手続き、特定分野の判例の調査、法案の調査、判例に基づく米国出願用英文明細書の作成を行っている。2003年2月ワシントンDCの司法試験に合格。趣味:カニ釣り、下手なゴルフti@raderfishman.com