第2回 米国特許出願コスト削減 【図面編】
     (TI2001-2:Pat-Appln-Drawings)



 今回は特許出願のお話です。米国特許出願にはかなりの費用がかかります。出願時に翻訳費用を含め100万円をこえることもあります。さらに、出願した後、拒絶を受ければ、意見書(Remarks)、補正書(Amendment)を特許庁に提出し反論しなければなりません。これにも、特許弁護士の手数料を含め20万円以上の費用がかかります。しかし、ちょっとしたことを注意すれば、その手数料を減らすことができます。

 代理人の費用のなかには、特許庁からの図面の補正指令(Objectionまたは、35USC112による拒絶)に対応する費用が含まれています。これをできるだけ減らすことが一番簡単な対策です。日本からアメリカに出願する時にちょっと注意すれば、そのような補正指令を受けず、アメリカ弁護士の手数料を節約することができます。図面を訂正するために弁護士が内容を検討しますと手数料が発生しますが、その額は、場合によっては数百ドルになるケースもあります。

 今回ご紹介するのは、日本企業が犯す典型的は図面のミスの1つです。

 ほとんどのアメリカ出願は、日本出願に基づいてアメリカに特許出願されています。この場合、アメリカ出願の図面として日本出願の図面がそそのまま使われることが多いようです。

 このとき、もし日本出願の図面に日本語が記載されており、その図面をそのままアメリカ出願に使用すると、図面に補正指令がかかります。たとえ意味のない「あいうえお」といった表現であっても、日本語が図面にありますと補正指令の対象になる可能性があります。これは、37CFR1.84(p)(2)に規定されています。


37 CFR 1.84 (p)(2)
 The English alphabet must be used for letters, except where another alpahbet is customarily used, such as the Greek aalphabet to indicate angles, wavelengths, and mathematical formulas.



 もし、そのようなミスがおきた場合、日本の特許事務所にそのようなミスがないよう徹底してもう必要あるかもしれません。

 機会がありましたら、これからも、図面に限らずいろいろな日本企業のアメリカ出願における典型的なミスをご紹介していきたいと思っています。



今泉 俊克(いまいずみ としかつ)
 米国特許弁護士。1962年、東京都出身。1985年中央大学理工学部電気工学科卒業後、1985年-1995年(株)リコー法務本部勤務。1995年-1998年駐在員としてRicoh Corporationに勤務。(ワシントンDC駐在) 1997年米国Patent Agent Exam合格(Limited Recognition)。2001年 Franklin Pierce Law Center卒業(Juris Doctor取得)。現在、Rader, Fishman & Grauer PLLC (ワシントンDC)で、主に特許出願手続き、意匠出願手続き、特定分野の判例の調査、法案の調査、判例に基づく米国出願用英文明細書の作成を行っている。2003年2月ワシントンDCの司法試験に合格。趣味:カニ釣り、下手なゴルフti@raderfishman.com