早稲田MOTでの授業が、これまで私が経験してきた大学での授業と大きく異なる点の一つは、「マルチファカルティ」の授業が多い点です。
マルチファカルティの授業とは、一つの授業を複数の講師が代わる代わる担当する形式の授業で、その講師の多くは、大学教員ではなく、実務家です。
先日、ある授業の実務家講師として、NTTドコモiモード企画部長の夏野剛氏にご講演して頂きました(去年はNTTドコモiモード事業本部長の榎啓一氏にご講演して頂きました)。
自称「業界一のぶっちゃけ男」の夏野氏だけあり、軽快な語り口で最近の「おサイフケータイ」含め、とても興味深い話を聞くことができました(内容については、夏野氏に「ないしょだよ」と言われたので、ご勘弁ください)。
やはり生の当事者の話を聞くのは面白いもので、それまでの講義や書籍で学んでいた、オープン化、デファクト、Win-Winモデル、アライアンス、ネットワーク外部性、コンテンツなどのキーワードが実感を伴って理解できた気がしました。
一方、「で、知財的にはどうよ?」という点については、未だにすっきりしません。例えば、NTTドコモがⅰモードコンテンツの記述言語としてWML(WAP)ではなく、標準的なHTMLを採用すると決めた際、あるいは、より広範なビジネス展開が考えられる「おサイフケータイ」事業を開始する際、自分がドコモの知財部員であったとして、なにをしただろうか?単に、新たに開発した技術や考え得る事業モデルをビジネス・メソッド「らしく」仕立てて出願だけしてればいい?いや、そもそも、この手の事業に知財ってお呼びでない?問題特許の洗い出しだけでOK?
ただ、夏野氏の話を聞いて、なるほど情報通信業界ではお金儲けの方法が大きく変わったんだから、知財部の仕事もそれに対応しなきゃいけないんじゃないのってことだけは、強く感じました。
いつもながら、知財実務への落とし込みは悩むところです。
夏野氏の著書、iモード・ストラテジー、ア・ラ・iモード、興味がある方は読んでみてください。いずれも数年前に出版されたものですが、iモード事業の立ち上げから成功に至るプロセスが夏野氏なりの視点で説明されています。
では、また。
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