第15回 速報!!


米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は、PHILLIPS v. AWH CORPORATIONに関してオンバンクヒアリング(en banc hearing)を行うとする決定を行った。(2004年7月21日決定)


背景

 最近、連邦巡回控訴裁判所は、クレームの文言を解釈する際、外的証拠(extrinsic evidence)である辞書を参照しクレームの「通常使用される意味(Ordinary Customary Meaning)」を決定している。(外的証拠とは、内的証拠以外のものを言う(例えば、専門家証言、辞書、参考書等)。内的証拠とは、特許に係わる証拠を言い、クレーム、従来技術の記載、実施例の記載、要約、図面等を含む特許明細書、審査経過等を言う。)

 しかしながら、先例では、内的証拠(intrinsic Evidence)」でクレームの文言解釈の問題を解決できないときのみ、外的証拠を使用できると判示している。Vitronics Corp. v. Conceptronic, Inc., 90 F.3d 1576, 39 USPQ2d 1573 (Fed. Cir. 1996)

 このように、最近の連邦巡回控訴裁判所の判断は、先例に反する恐れがある。

 このオンバンクリヒアリングでは、「外的証拠である、技術的そして一般的な辞書および同様なソースをを主に参照することにより、クレームの文言を解釈することができるか否か」といった問題が解決され、それにより、その先例のコンフリクトの問題が解決されるであろう。



今泉 俊克(いまいずみ としかつ)
 米国特許弁護士。1962年、東京都出身。1985年中央大学理工学部電気工学科卒業後、1985年-1995年(株)リコー法務本部勤務。1995年-1998年駐在員としてRicoh Corporationに勤務。(ワシントンDC駐在) 1997年米国Patent Agent Exam合格(Limited Recognition)。2001年 Franklin Pierce Law Center卒業(Juris Doctor取得)。現在、Rader, Fishman & Grauer PLLC (ワシントンDC)で、主に特許出願手続き、意匠出願手続き、特定分野の判例の調査、法案の調査、判例に基づく米国出願用英文明細書の作成を行っている。2003年2月ワシントンDCの司法試験に合格。趣味:カニ釣り、下手なゴルフti@raderfishman.com










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